病種

アメーバ症

アメーバ症とは?

アメーバ症は、衛生状態が悪く、水や食べものが便などで汚染されるような地域にしばしばみられ、ある種の性行為で感染する場合があります。赤痢アメーバは最初大腸に感染しますが、ひどくなると肝臓など他の臓器に感染が及ぶこともあります。

赤痢アメーバという原虫は、細胞ほどの小さな生物ですが、虫で言えば卵に相当するシストが人間に感染する力を持っています。

水や食物などと一緒に赤痢アメーバのシストが、摂取されます。胃酸によって酸性となっている胃の中では、赤痢アメーバのシストには何の変化も起きませんが胃から腸に達し、中性・弱アルカリ性の環境となると、小腸でシストから飛び出して赤痢アメーバは活動を始めます。

大腸で分裂して数を増やし、大便と一緒に人間の体外へと出たり腸粘膜を侵し赤痢を起こすことがあります。また、体内で繁殖した赤痢アメーバは腸粘膜の壁を破り肝臓などにたどり着き膿瘍を作ることもあります。赤痢アメーバが侵す部位によってアメーバ症の症状も違ってきます。アメーバ症は、赤痢アメー
バが侵す部位によって、腸アメーバ症と腸外アメーバ症に分類され、腸アメーバ症は、主にアメーバ赤痢であり、腸外アメーバ症の主なものがアメーバ性肝臓膿瘍です。

水や食物などと一緒に赤痢アメーバのシストが摂取されてから発病に至るまで約数日〜4ヶ月、通常2〜4週間の潜伏期間があります。感染しても自覚症状がない人もいれば、体中に広がって死亡する人もいます。自覚症状のない人は、腸の中に赤痢アメーバが住み着いてしまい、無症状のキャリアとなることがあります。この場合、感染した人自身は問題はないですが、便中に出てきたシストが感染源で二次感染を起こす可能性があるので注意が必要です。


いんきんたむし(白癬)

いんきんたむしとは?

通常「いんきんたむし」とよく呼ばれますが本来、「いんきん」と「たむし」は別のもので、「いんきん」は、陰のうに出来る湿疹や皮膚炎など陰部に出来る皮膚病の総称のようです。

また、「たむし」とは、医学的には潜在性小水疱性斑状白癬(せんざいせいしょうすいほうせいはんじょうはくせん)とずいぶんややこしい名前ですが、思春期の男性に多く見られます。いずれも原因は白癬菌の感染によるもので、股のつけ根や臀部(でんぶ)など皮膚の触れ合うところや、汗をかく事の多いところに湿疹と合併して起こります。 また、性交時にも皮膚や患部が接触する為感染する場合があるので気をつけましょう。

白癬菌が足につけば「みずむし」と呼ばれつまり足白癬といいます。従って「いんきんたむし」も「みずむし」も同じ白癬菌による病気です。白癬は、白癬菌が感染する部位によって、色々な名前で呼ばれています。

体幹、四肢にできた白癬は俗に「ぜにたむし」、頭にできた白癬は、俗に「しらくも」とも呼ばれます。その他、手のみずむしは手白癬、爪のみずむしは爪白癬と言います。

発病は基本的に夏が多いようで、これは、夏は高温多湿で白癬菌の温床となりやすく汗などで陰部が蒸れやすいためです。とくに海水浴やプールに入ったときなどに感染しやすいので、注意が必要です。一度感染するとなかなか完治することは難しく、がんこで再発しやすいのが特徴なので徹底的に治療することが大切です。

白癬菌は通常、皮膚の一番外側の角質層に感染して、角質層のケラチンを分解して栄養としています。従って、足白癬(みずむし)の場合は、厚い角質層に菌がいる為、薬をつけても中まで浸透しにくく、完治まで最低2〜3ヶ月以上薬をつける必要があるようです。

しかし、股部白癬では、通常1ヶ月位つけるほどで完治します。最近の外用薬は種類も多く、十分な効果があり期待できます。

「いんきんたむし」は恥ずかしい陰部にできる為、放っておく人が多いようでかなりひどくなってから受診される方が多いようです。白癬は伝染する病気で自然と治ることはありませんので疑いがあれば必ず薬店もしくは皮膚科に行かれる事をオススメします。入浴時石鹸でよく洗い、清潔に心がけ、患部はよく乾かすようにしましょう。


成人T細胞白血病

成人T細胞白血病とは?

成人T細胞白血病リンパ腫は、リンパ系の悪性腫瘍で特殊なタイプです。

成人T細胞白血病リンパ腫は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型の感染で発症することが明らかになってい
ます。ウイルス感染している人は、日本全国で約120万人となっており、南西日本に多いと言われています。成人T細胞白血病リンパ腫を発症するのは、感染者10,000人について年間5〜6人ほどで、ほとんどの場合感染していても成人T細胞白血病リンパ腫を発症する事はごくまれになります。なぜHTLV-Iに感染している人が成人T細胞白血病リンパ腫を発症するのか、まだ十分に解明されていません。

ウィルス感染の経路として挙げられるのは

・母児間の母乳を介しての感染
・夫婦間の性交渉での感染
・輸血による感染

以上の3つがあります。

母児間の感染は、母体が感染している場合、子供の2〜3割に感染が確認されています。母乳の中に含まれるウィルスに感染したリンパ球が、原因のようで、母親が感染している場合、授乳を中止することにより子供への感染をほぼ防げることが確認されています。

夫婦間感染では、主に夫から妻へ、精液中の感染したリンパ球を媒体として感染するようですが、夫婦間間で感染した場合、成人T細胞白血病リンパ腫を発症することは、まれであるため、現在夫婦間感染に対する特別な対策はとられていません。

また、輸血による感染は、1986年から全国の血液センタ−で献血時に抗体の検査が行われており、現在輸血による感染の心配はありません。

日常生活で感染することはなく、成人T細胞白血病リンパ腫の方やウィルスのキャリアが隔離されたり生活の制限を受ける必要は全くありません。


軟性下疳

軟性下疳とは?

軟性下疳とは軟性下疳菌という菌の感染により発症し感染より2〜3日して感染部位に小さな赤色発疹が出現します。

外国で感染して持帰る人が多い病気で、コンドームにより大部分は防げるといわれています。症状としては、性器にできたコブや潰腫やリンパの腫などがあげられアフリカやアジアなど、発展途上国に昔から広く伝わる病気です。

軟性下疳は以前、性病の1割を占めていましたがサルファ剤や抗生物質(ペニシリンなど)の登場により激減、先進国ではほとんど見られない病気となりましたが、現在でも南アジアや熱帯地方の後進国では発生しているようです。

この病原体は軟性下疳菌という棹菌で非常に弱い菌で、症状は潜伏期間は短く感染後2〜3日で赤く盛
上がったイボのようなものができ、膿が出て、形が崩れて潰瘍状になります。この潰瘍が軟性下疳です。この潰瘍の表面からうみが出て、こすると容易に出血し、激しい痛みを伴います。

発生する部分は男性では包皮・亀頭・包皮小帯などで、女性では小陰唇・尿道・子宮膣部・肛門周辺に多く発症します。軟性下疳は感染が局所に止まりますので、以外に治療は容易ですがそのままにしておくことは二次感染も含め禁物で、アメリカでは近年感染者が増加しており軟性下疳の患者にHIV感染者が多いとの報告もあります。また、日本では梅毒と混合感染している場合もあり 注意が必要です。

性交渉、アナル、フェラチオなどにより感染し発症している部分に接触することで感染します。